ピルフェニドンとオフェブの売上推移

投資の日記

中国でニンテダニブの進捗が速い…

GNIグループの株主としては、中国のニンテダニブの販売がいつになるのか気になるのですが、現状は輸入医薬品5.1類のNDA申請が急ピッチで進捗している状況です。ただし実質的にピルフェニドンと競合するのは医療保険償還リストに収載されてからなので、まだ気にすることは無いのですが、、、少しだけ検証してみました。

 

中国の「国家基本医療保険、労災保険と出産保険医薬品目録」(以下、医療保険目録に省略)は2000年に第一版が制定され、2004年、2009年、そして今年2017年に改定されました。間隔は4年、5年、8年と広がっている状況です。審査承認制度の改革を進めている中国ではあるですが、ニンテダニブが上市後医療保険目録に収載されて保険で償還される対象になるのは、今年改定されたばかりなのでまだ先だと思われます。(私見)

改定以外で医保目録に飛び込むことはあるか

今年の医保目録の改定までに8年の間隔があったのですが、その間にリストに医薬品が追加されてないかを調べてみました。

下は人力資源社会保障部のサイトで関連の高そうなワードで検索をかけてみた結果です。

 

医薬品の名称や剤型の変更通知に混じって規範の調整というのがあるので、その部分を表示してみました。

4つある項目の中で1から3は医薬品名のローマ字使用や名称変更なので関係無かったのですが、4つ目は「一部の医薬品の認定について」という見出しです。苦労して訳してみたところ、新たな種類の医薬品を追加認定しているのではなく、医保目録に既に収載されているものと同じ成分や分類に属する医薬品を認定しているようです。

結果は過去の事例においては無さそうと言うことです。同じ成分の医薬品が認定されているので、ジェネリックに関しては随時(最近の傾向だと2年ごとに)追加されていくのでしょう。(現在中国は医療改革を強く推進しているので、今後どうなるかは判りません。)

国家薬品価格交渉なんてのがありました (追記)

次回の改定までまだ余裕があると思っていたのですが、国家薬品価格交渉なんてのを見つけてしまいました。(第二批44个医保谈判范围内的品种谈判结果)中国の人力資源社会保障部が製薬メーカーと値引き交渉をして、交渉が成功した医薬品を医保目録に収載しています。

第1回目の交渉は国家計画委員会主導で2016年に結果が公表されています。そして今年、第2次国家薬品価格交渉が人社部であり、44の医薬品の値引き交渉のうち36が成功して2017年版の医保目録に乙類薬として追加されています。

次回の国家薬品価格交渉がいつになるか判らないのですが、何とも予断を許さない状況のようです。ベーリンガーインゲルハイム社がオフェブの大きな値引に応じるか判らないのですが、この値引き交渉については要注意な感じです。

日本と米国での売上推移

何年か経ってオフェブ(ニンテダニブ)が中国の収載リスト入りした時の参考として、ピルフェニドンとオフェブの両方が販売されている状況での売上推移を調べてみました。

まずは日本でのビレスパ(ピルフェニドン)とオフェブ(ニンテダニブ)の売上です。ビレスパは2008年12月、オフェブ2015年8月の発売開始になります。

 

日本での売り上げ
 ピレスパ オフェブ
2009年度15億円 —
2010年度28億円 —
2011年度34億円 —
2012年度45億円 —
2013年度48億円 —
2014年度54億円 —
2015年度60億円(8月発売開始)
2016年度58億円90億円
2017年度65億円161億円

 

次は米国でのEsbriet(ピルフェニドン)の売上です。米国ではピルフェニドンとオフェブが、2014年10月15日にIPF治療薬として同時承認されているのでぜひ比較したいのですが、米国単独でのオフェブの売り上げデータが見つかりませんでした。

米国のピルフェニドンの売上 (100万スイスフラン)
2015Q150
2015Q298
2015Q3114
2015Q4124
2016Q1127
2016Q2134
2016Q3158
2016Q4150
2017Q1153
2017Q2161 
2017Q3162

 

因みにロシュダイアグノスティックス社全体での2016年のEsbriet(ピルフェニド)の売り上げは、768百万スイスフランで前年比36.4%増です。一方同年のベーリンガーインゲルハイム社全体でのオフェブの売り上げは、613百万ユーロで前年比70.9%増です。

日本と米国のピルフェニドンの売上推移を見たところ、高止まっているようにも感じられますが、、解釈は人それぞれです。ピルフェニドンとオフェブは作用機序が違い併用の道もあります。中国市場に十分な余裕があるならば、共に売上を伸ばして行くのでしょう。

あくまで不確定な事柄への推測ですので、種々の判断材料に当記事の内容を利用されないようにお願い致します。

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