F351 羟尼酮 (ヒドロニドン)

GNIグループの株価に望みを掛ける…

去年ぐらいからは家事と介護が忙しくなり、本業の商売はあまりぱっとしない状況に。母親を寝かしてから夜間に仕事をすれば良いのですが、体力気力的にちょっと無理。結局夜はのんびり過ごしたりブログを書いたりに使ってしまってます。

そして今年2月です。将来の老後の資金をどうすれば良いか、母を万が一ホームに入居させなければならない状況になった時は特養では無くて介護付き有料に入れてあげたい等と考えていたところに、GNIグループのアイスーリュイ(ピルフェニドン)の保険収載の情報が入り、公式IRの後に株価は爆上げ。私のGNIグループの株価への依存はかつて無い程にmaxになったのです。

私には大した知識は無いのですが、2013年にGNIの株式を購入して以来ちょくちょく情報を調べているので、このカテゴリーにはちょっとしたGNI関連情報をニッチな感じで書いていければと思ってます。


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羟尼酮 (ヒドロニドン)とは…

ヒドロニドンはGNIグループが中国で治験を進めている肝線維症の治療薬です。既に突発性肺線維症の治療薬として承認されているピルフェニドンの誘導体でもあります。取り敢えずは肝線維症を適応症としているのですが、これが成功すれば他の様々な線維症にも拡大していく可能性は極めて高いです。2010年07月26日のGNIグループのIRによれば

中国だけで、毎年約1,800万人の患者が肝線維症治療を求めていると推定されます

引用:GNIグループIR 「上海ジェノミクス社のF351の対人 第1相臨床試験結果について」

中国の肝線維症だけでも市場規模は相当に大きく、ヒドロニドンの開発の成功は、GNIグループが中堅以上の製薬会社になることを強烈に後押しするものと信じております。

ヒドロニドンの構造

上海ジェノミクス(GNIグループの子会社)が提出した特許請求の範囲にはヒドロニドンが位置異性体を含む形で記されていますが、明細書の方には他の幾つかの置換基が結合したものも範囲に含まれる記述があります。なので拡大先願の適用で以下の化合物も特許に含まれると思われます。(参照United States Patent 7,825,133)

明細書の記述によると、以下の構造式で示される化合物と薬学的に許容されるその塩も含まれることになります。その中でもより好ましいのがR1の5位がメチル基、R2の4位が水酸基(つまりヒドロニドン)とのことなので、探査や前臨床の結果ヒドロニドンがベストだったと言うことなのでしょう。

参考:United States Patent 7,825,133「Derivatives of pyridone and the use of them」

以下はピルフェニドンとヒドロニドンの構造式です。

この2つの化合物は良く似た構造なのですが、薬物動態や抗線維化作用の能力に少なからずの差があるようです。

化学反応式

ピルフェニドンの合成の化学反応式は以下のようになります。上がヒドロキシル化で下が縮合反応になります。

次はヒドロニドンの合成の化学反応式です。上からヒドロキシル化、縮合反応、そして脱保護反応になります。

これらの化学式は北京コンチネント(GNIグループの子会社)が役所に提出した公開資料を元に、描き写したものになります。上記の式からも判るように、ピルフェニドンからヒドロニドンを直接合成する訳では無いようです。

副作用

ピルフェニドンの主な副作用は光線過敏症です。ピレスパ(塩野義製薬発売のピルフェニドン)の添付文書には以下の記述があります。

副作用
承認時における安全性評価対象例 265 例中,副作用は 233 例(87.9%)に認められた。主なものは,光線過敏症 137 例(51.7%),食欲不振 61 例(23.0%),胃不快感 37 例(14.0%),嘔気 32 例(12.1%)であった。また,臨床検査値の異常変動は安全性評価対象例 265 例中 120例(45.3%)に認められた。主なものは,γ-GTP 上昇 53 例(20.0%)であった。

引用:ピレスパ錠200mg 添付文書

ヒドロニドンはどうでしょうか。GNIグループが2010年07月26日に発表した ” 上海ジェノミクス社のF351の対人 第1相臨床試験結果について” を見てみると以下の説明があります。

1日に800mgを投与されたグループにおいて、目まい、頭痛、便秘、吐き気、膨満、胸やけ、発疹、脂質異常症ならびに異常肝機能などが認められましたが、これらの殆どは軽度であり、自然治癒されました。

引用:GNIグループ2010年07月26日 IR

光線過敏症はヒドロニドンでは大きく改善されているとのことで、1日800mgの投与で副作用として光線過敏症の記述は無いようです。”Tolerability and Pharmacokinetics of Hydronidone, …” によると、ヒドロニドン120mgの単回投与、120mg 1日3回投与を7日間、60mg 1日3回投与を28日間では、重篤な有害事象(SAEs)や軽度の有害事象(AEs)は発生しなかったとのことです。

最高血中濃度とAUC、半減期

下記は人体への単回投与のデータです。

  ピルフェニドン 200mg ヒドロニドン 120mg
最大血中濃度 Cmax (μg/ml) 3.88±0.82 0.7425 (0.28605)
最大血中濃度到達時間 t max (h) 0.75±0.27 0.50 (0.33–1.00)
血中半減期 t 1/2 (h) 2.10±0.45 2.16 (1.77)

濃度時間下面積 AUC (μg・h/mL)

AUC 0–48

13.97±2.71

 AUC 0–∞

1.71433 (0.62883)

参考: Tolerability and Pharmacokinetics of Hydronidone, … , 吡非尼酮胶囊说明书

用量やその他の細かな条件が違っているのであくまで大まかな比較なのですが、ヒドロニドンを投与した場合の最大血中濃度は、同量のピルフェニドンを投与した場合よりかなり低いです。そしてヒドロニドンのAUC (血中濃度時間曲線下面積 ,利用された総薬物量) は、ピルフェニドンに比べてさらに小さくなっています。

増殖率と細胞生存率

本命の抗線維化作用の比較なのですが、こちらも上海ジェノミクス(GNIグループの子会社)が2010年に米国で出願した特許公報、”DERIVATIVES OF PRYIDONE AND USE THEREOF” からの情報になります。

下のグラフはヒドロニドン(F351)による線維芽細胞の増殖(Cell proliferation)の抑制と、線維芽細胞生存率(Cell viability)の抑制を表しています。

引用:United States Patent 8,084,465「Derivatives of pryidone and use thereof」

次のグラフは、ピルフェニドン(pf)とヒドロニドン(f351)の線維芽細胞生存率(Cell viability)の抑制を表していて、ヒドロニドン(f351)の方が線維芽細胞生存率を強く抑制しているのが判ります。

引用:United States Patent 8,084,465「Derivatives of pryidone and use thereof」

この実験において線維芽細胞生存率(Cell viability)の抑制は、線維化の原因となるコラーゲンの合成を有意に阻害していることを意味しているとのことです。

グラフを見るとピルフェニドンは、250μg/ml までは線維芽細胞生存率が殆ど抑制されてません。相当な高濃度でなければ効果が得られないことが予測されます。それに比べてヒドロニドンは50μg/mlの始めの測定のデータプロットでしっかりとグラフが下降しています。これはピルフェニドンと違って低濃度でも線維芽細胞生存率を抑制できる可能性を示しているので、大いに期待したいところです。

前述の資料によると、ヒドロニドン120mg1回投与の時の最大血中濃度は 0.7425μg/mlです。(現在中国で実施中の第2相臨床試験では、120mgを1日3回52週間が最大投与量です。) この濃度やAUCにおいて効果がどれだけ発揮されるかがポイントになるのでしょう。

ヒドロニドンは、ピルフェニドンを含む様々な置換基が結合した化合物の中からスクリーニングや非臨床試験で選択された結果なのでしょうから、ピルフェニドンより優れた薬剤であることは間違い無いのではと思っております。

資料の翻訳や解釈間違いの可能性がありますので、種々の判断材料に当記事の内容を利用されないようにお願い致します。

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